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愛に生きる

第1章 春

一次会も終わり、みんなはカラオケだのボーリングだの次に二次会に向けてワヤワヤと話をしている。

僕はひたすら飲むことで気分を紛らわしハイになれればもういいや、という感じだったので軽く出来上がっていた。

ケバい子にヘラヘラとちょっかいを出し、地味な子たちにどぎつい下ネタを言ったりして。

もう二次会の気分でもなく一人になりたかった。
どうせ狙っていたあの可愛い子とも僕みたいな人間は仲良くなれずに醜態をさらけ出して終わるのだろうと感じていたから。

今思い返してみれば、自分の心の弱いところをどれだけお酒でごまかしてきたのだろう?

今でもお酒が大好きで仕方ないのだが、あの頃にしてみればお酒は寂しさや恥ずかしさを紛らわす手段であって、真実の幸せを何一つ分からないまま偽物の慰めの手段になっていた。


とりあえず、僕は楽しそうな二次回集団を見送りながら帰路につく選択肢しか思い浮かばなかった。

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