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幻想世界☆

第13章 想うがゆえ

・横尾side

“渉、わた…”

夢の中で裕太が俺を呼んでいる。

それは、とても優しい音色に聞こえた。

心地よい響きが、傷ついた身体を癒すかのように。



玉「起きて、渉」



うん、うんとその声に反応するかの如く頷く俺。



玉「ねぇーわたってばぁ、いくらなんでも寝すぎじゃない」



んっ?俺そんなに長く眠ってた。

思わずニヤけると―



玉「ちょ、なんで笑ってるの?ってか本当は起きてるんでしょ」



寝てます寝てます、これは夢の中、クスッ



玉「さっきだって頷いてたし俺の声きこえてるんじゃない?」



はーい。



玉「だったら眼を開け俺を見て」



えっ、眼を開ける?



玉「ほら、ねっ」



そーっと薄目を開けたなら目の前に。



横「裕…太?」

玉「遅よう、もう11時だよ ニコッ」

横「なん…で」



ベットの中にいるわけ?



玉「わたの匂いがする」



当たり前だろ ここは、ハッ

エヘヘッと笑う裕太の顔があまりにも近すぎて。



横「だっ…ダメ‥だ」

玉「どうして?」

横「いい…から‥早く」

玉「どかないよ」

横「‥‥っ」



真剣な眼差し―



玉「わた俺に隠し事をしていたでしょ」

横「な…んの‥はな…」

玉「惚けるな!」

横「なっ」



すると、ギュッと胸の中へ抱きつき。



玉「許さない許さない許さない許さない!クッ」



ドンドンドン叩く手が握り拳となっている。



玉「俺に、あんな事をしておきながら」

横「裕…」

玉「独りで逝っちゃうだなんて絶対に許さない」



おまっ!?




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