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幻想世界☆

第14章 執事の企み③

・横尾side

横「そう全て話したんだ」



翌日、太輔が来て。

あの後ミツと、どうなったのかを話して聞かせてくれた。



藤「わた、俺」

横「よく我慢したね、だけど問題はこれからさ」

藤「正直、抑えられる自信がない」

横「お前らしくないじゃんと言いたいところだが」



分からなくもない。

自分だって、まんまと罠にハマりやってしまったんだから。



横「俺、思うんだ」

藤「んっ?」

横「両想いになれたからってわけじゃないけどさ」



たとえ、きっかけがどうであれ。



横「あいつにハメられたんだとしても」



想う気持ちは本物―



横「そうでしょ太輔、ニコッ」

藤「…だね、フッ」

横「やつはなんらかの目的があって俺たちを夢の世界へ引きずり込んだ」

藤「たぶん俺や宮田、わたの胸の内にある秘めた想いを利用し」



欲に染めるため。



横「あの世界は、欲望の塊で出来ているんだっけ」

藤「あぁ、そう言ってた。やっぱりあそこには何かがある気がする、わた今度は2人で行ってみない」



連中が、出で来るとは限らないけど。



藤「あいつらだって、もとはこっちに存在する人間」



なのにどうして?



横「確かに俺もそれは気に掛かる」

藤「そうと決まれば今からでもさ」

横「分かった」



数分後、例の駅へ降り立った俺達は。

あの日、空には綺麗な満月が出ていた。



横「ここに占い師がいたんだよね」

藤「今日もいない」



その場所から歩いて、暫く行った所に。



藤「えっ?嘘、確かにあったんだ!ここに」



幻想館に似た古い屋敷が。



藤「本当だって、わた」

横「幻想」

藤「‥‥っ」



そう、まるで。

ポッカリと空き地になっているそこは。

都会のド真ん中では不釣り合いにも見え。



藤「おっかしいなぁ、じゃあれは一体なんだったんだろう?」



かえって違和感を感じる。



横「太輔一度むこうの世界の屋良さんと、話した方がいいのかもしれないね」

藤「屋良さんと?」

横「なにか知っている気がする」



が、俺達は既にニカが彼らと接触していたことをまだ知らないでいた。

そして―

このあと太輔は、分かっていながらも深みにハマっていく事となる。

ミツと2人で…




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