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幻想世界☆

第17章 慟哭と苦悩①

・横尾side

“行くのなら夜だ”

そう郁人が言っていたことを宮田の口から聞いた俺と太輔は。

仕事が終わると3人で例の場所へと向った。

何か思い出すのではと一部の望みを胸に。

すると、路地裏を曲がった所で。



「そこの紫のオーラの人」



いた占い師だ、いや待て。あれは…

フードを深く被ってはいるが。



藤「郁人?」

河「俺は郁人であって郁人ではない」

宮「はっ?」

藤「やっぱり郁人だ、わたほら俺の言った通りだろ」



太輔が昼間、独りで来た時にハムスターの郁人を見かけた。

ついていったら、幻想館に似た古ぼけた屋敷の前へと辿り着き。



藤「おまえ」

河「月だ、月を見上げ思い出せ」

藤「えっ」



その言葉に、3人して空を見上げる。

あの日、俺と太輔・宮田は



宮「綺麗な月だなぁ」

藤「月ってさ、なんかこう神秘的じゃね」

横「だからまつわる話しとか昔っから多いんでしょ」

宮「じゃさ願いごとを叶えてくれたりとかする?」

藤「そう都合よくってわっマジでみや、祈ってるよ」

横「あははっ」



その時ピカッと光った先、そこで俺達が目にしたものは。



宮「俺が祈ったからこんなことに、クッ」

藤「違う」

横「太輔」



そう、みんな全員で祈ったんだ。

心の中でそれぞれが叶わぬ想いを胸に抱いていたから

そして―



「そこの3人ちょっといいですか?」



顔はフードで分からなかったけれど。



「あなた恋をしていますね切ない片想いを」



それは俺でも宮田に対してでもない。



藤「ずーっと、気になっていた」



太輔に向け、発した言葉だった。




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