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幻想世界☆

第20章 束の間の休息

北「こっちではペットじゃねんだからよ」

藤「向こうでだって俺に、洗わせはしなかっただろ」

北「そうだっけか?」



拘るとこそこ、クスッ



北「それから」

藤「んっ?」

北「俺に、気を遣わないでくれ」

藤「北山」

北「もう大丈夫だからさ」



ありがと、フッ



北「じゃあ、ジャンケンで決めようぜ」

藤「何を?」

北「どっちが先に洗うかに決まってるだろ」

藤「お前ら、いつもそんな感じ?」

北「あ、3人で入っていたとき?」

藤「そう」

北「だいたいは俺が1番で次かタマ、最後が宮田って決まってた」

藤「だったら北山が先に」

北「やだ」

藤「はっ?」

北「藤ヶ谷とは平等でいたい」

藤「おまえ」



そう、ふっ Thank Youそう思ってくれていて。

チャポン



北「んっ、ビクッ」

藤「もう俺はお前に乱暴なことをしたりはしない」

北「藤…ヶ‥あっ、ビクン」

藤「優しくする、クチュ」

北「ふああっ、そこ」

藤「気持ちいいの?」

北「はあっ、いっ」

藤「ふっ」



チュッ!

その唇にキスをすれば応えるかのように、吸いついて来る。

舌を絡め、抱きつき。

まるで両想いではないかと勘違いしてしまうほどに。

熱く抱擁を交わす、俺たちふたり。

しかし―



北「んああっ、はっいっ、あっ、あぁーっ」



そうではない事を俺は知っていた。

北山は身を犠牲にしてくれているだけに過ぎないと。

が、それでも俺は嬉しかったんだ。



北「はああっ」



俺は自分で傷つけてしまったものを癒そうとするかの如く。

優しく北山を抱き続けた。



北「んんダメだ、あぁ」

藤「何が?」

北「はあっ、よすぎ」

藤「ぜんぜんダメじゃないじゃん、クスッ」

北「どうし、あっ、うん」

藤「好きなだけ感じていればいいさ、ニコッ」

北「藤…ヶ、ふっ、あっ、あぁーっ」



愛している北山、例えいつかは終わる恋だとしても。

後悔しないくらい今。

思いの丈の全てを、お前にぶつけよう。

せめて、こいつの中で俺とのことが。

心温まる思い出として変化していけるよう願いを込め




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