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幻想世界☆

第22章 甦った記憶②

・藤ヶ谷side

“ちょっと出掛けて来る”

そう言って外へ出た俺は、例の場所へと向かっていた

“時間がない”なんとなくそんな気がする。

北山の話を聞いて―

俺たち3人が相手を愛しく思えば思うほど欲望は強くなり。

執事とゼロムの思うつぼとなっている気がしたから。

あそこだ、あの病院。

この近辺で、大きな病院といったらそこしかない。

でも…



受付「お名前が分からないようではどうしようもありません」



だよな、昨日はそれで引き下がった。

しかし、今日は。

藤ヶ谷 太輔 何か手掛かりがないかと院内を徘徊中。

すると―

んっ?壁に数々の絵が貼られてあり。

その中に、見たことがある風景が。



藤「すみませーん」

看護「はい、どうしましたか?」

藤「この絵」

看護「あぁ山上さんの上手でしょ」

藤「はい、この方は今」

看護「ここの入院患者さんとは言っても」



そこまで言って、口を濁す看護士。



藤「幻想的な絵ですね夜空に白と紫の月が2つ」

看護「山上さん小説を書いてらして、これはその挿し絵に使うつもりで描いたらしいの」

藤「ふーん、なるほど」

看護「でも、出版までこぎつけなくてね」

藤「どうしたんです?」

看護「ネット小説っていうのかしら?そこへ投稿したって聞いたけど」

藤「読んでみたいなぁ」

看護「あら、でしたら」



山上か、それがやつの名前なんだろうか?

ガチャ!



藤「ただいまぁ」

北「お帰りぃ藤ヶ谷、ニコッ」

藤「みんなは?」

北「とーっくに帰ったわ、藤ヶ谷が出掛けちゃうからさ」

藤「ごめん急用を思い出して」

北「あっそ」



ぷーっと頬っぺたを膨らましドタドタッと足音を立て

奥へと引っ込んで行く北山

あら、またスネちゃった?我が侭な最年長さんだな。




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