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幻想世界☆

第5章 覚醒する瞬間

だいいち、あいつがそんなことするわけないし。

まるで吸血鬼…

バカ、なにを考えているんだ俺は。



屋「おまえ本当に大丈夫」

千「えっ?」

屋「悩みごとがあるのなら聞くぞ」

千「なっ、ないよんなの」

屋「ならいいけどさ、なんだか今日の千賀はちょっと変だし」



屋良にぃ、クッ

夢の中での屋良にぃは何故だか怪しく。

でも現実の屋良にぃはやっぱ優しいや。

だから、ちょっとだけ聞いてみたんだ。



千「あの…さ」

屋「んっ?」

千「夢の中で起きたことが目を覚ましたとき実際に、自分の身に表れているなんて事あるのかな?」

屋「どうだろ」



けれど言ったら考え込んでしまい。



千「あっいいや今のは忘れて、ハハッ」



俺が慌てて取り消すと。



屋「聞いたことはないし、あり得ないと思うんだが」

千「‥‥っ」

屋「もしそんな事が本当にあったなら、それはなんらかの意味がある事なんじゃないのかな?」

千「意味?」

屋「そう何かのメッセージとか、フッ」



伝えたい事があるっていうの?



屋「だからそれをまず探ることが、必要なのかもしれないね ニコッ」

千「探る?」

屋「俺ね、どんなことにも意味があると思うんだ」

千「えっ」

屋「とつぜん思いもかけないことが起こると人間パニックになり冷静に考えられなくなってしまうだろ」

千「うん、まぁ」

屋「でも、それじゃあダメなんじゃないかな自分から知ろうとしないと」

千「知る?」

屋「でなければ見落としてしまう大切な何かを」



そっか…



千「ありがとう屋良にぃ」

屋「少しは気分が晴れた」

千「うん、ニコッ」

屋「なら良かった、いつでも言って来い話し聞くし、独りで抱え込むんじゃないよ」



俺は、ちょっとだけ気持ちが楽になった気がしていた

そして“意味を探る”

屋良にぃの言った言葉が、その後の自分に変化をもたらしてく。

しかし夜はまたやって来る慟哭の渦を巻き―

俺たちは避けられないかのように。

その中へ引き込まれて行ったんだ。

自分が求めるものが、なんなのかを模索しつつ。

辿り着いた場所に、幸せがあるかどうかさえも分からずに。




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