テキストサイズ

幻想世界☆

第8章 広がる波紋②

・北山side

俺が目を覚ましたときには既に、タマの姿はどこにも見当たらず。



北「ふあぁーおはよぉ横尾さん」

横「やっと起きた」

北「あれ藤ヶ谷は」

横「帰ったけど」

北「えっ?もぉ」

横「めし、出来てるよ」

北「Thank You、ニコッ」



なんかあったのかな?そう思いはしたものの。

あえて聞くことはやめにし



北「うんめぇなー相変わらず」

横「それ、俺が作ったものじゃない」

北「へっ?」



まさか…



横「太輔」

北「うっそマジで?」

横「なかなかイケるでしょ」

北「おっ、おう」



んふふって笑う横尾さん、やっぱ何かあったな。

藤ヶ谷の方が、先に起きてメシを作るだなんて。



北「俺も、負けてはいられないわ」

横「んっ?」

北「今度は俺がメシを作ってやるよ」

横「誰に?クスッ」

北「そりゃーもちろん」

横「ミツ」

北「なんだわ?」

横「素直になれな」

北「はあっ?俺はいつだって」

横「ふっ」



素直だ、そうじゃないのはあっちだろ。



横「さてと」

北「出掛けるの」

横「こいつらを散歩させてやらないと」



そう言い、優しい眼差しを愛犬たちに向ける横尾さん



北「ほんじゃあ俺は」

横「ミツ」

北「なに?」

横「ありがと、ニコッ」

北「ふっ」



ガチャ、バタン!

何があったかは深くは追求しない、だが横尾さん。

俺達は仲間だ、どんなときでも助け合える。

だから、きっと。



北「ふっ、寄り添い分かり合えるさ」



見上げれば、眩しい太陽の日差しが。

くぅーいい天気だぜ、ってあれ?これから俺はどうしよ。



北「もしもーし、もしもし留守電だわ」



あっ、宮田は今日プレバトの収録だっけ。

そんじゃあ次は―

数時間後、けっきょく家へと戻り。



母「宏光、どうしたの突然に?」

北「別にいいだろ?ここ、俺んちだし」

母「ダメとは言ってませんよ (小声で) 虫の居所でも悪いのかしらね、クスッ」

北「聞こえてるぞぉー」

母「あらゴメンなさい」

北「ふっ」



誰かに甘えたくなるとき、俺は実家へ顔を出す。



母「ご飯、不味いわよ」

北「分かってるわ、クスッ」



この人の息子なんだと改めて思うだけで、心が安らぐから。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ