テキストサイズ

幻想世界☆

第8章 広がる波紋②

・藤ヶ谷side

藤「大丈夫?」

玉「うん有り難うガヤ」

藤「別に礼を言われるような事はしていないさ」



タマの様子が気に掛かり、俺は。



藤「わた 俺、追い掛けて来る」

横「太輔」

藤「あの様子は尋常じゃなかった、だから」



まさかその原因が、わただったなんて知らず。



玉「傍にいてくれた、それだけで十分」



急いで後を追ったら、泣きそうな顔をしていて。



藤「なにがあったかなんて聞かない、でもお前は独りじゃないし」



携帯を片手に―



玉「宮田に掛けてみたんだけど出なくてね」



寂しそうな表情…



藤「お腹すかない?クスッ」

玉「すいた、クスクスッ」

藤「お互い朝メシを食べてないからな」



でも良かった笑ってくれて



藤「じゃ何か作るよ」

玉「ガヤが?」

藤「バカにするな、これでも自分で作ったりしているんだ」

玉「じゃ、お手並み拝見といきますか クスッ」

藤「こいつぅ」

玉「んふふっ」



いつものタマだ、フッ

が、ふとした拍子に見えた首筋。

そこに…

あれ?あんな所に赤い斑点が2つ、なんだろう。

まるで吸血鬼にでも噛まれたような、ハッ

吸血鬼?ヴァンパイア!?



玉「ガヤ、どうかした?」

藤「えっ、あいや」



そんなバカな、あれは夢の中での出来事。

実際に起こり得るわけないし。



玉「ねぇ鍋が沸騰しているよ」

藤「あ、うん」



それに、もしそうなら相手は渉じゃん。

ないない、アハッ

あいつは本当にタマを大事に思っているから。

そのタマを襲い犯して血を吸うだなんてあり得ないさ

その時だった、チャイムが鳴ったのは。



玉「千賀!?どうしたんだよイキなり」



えっ、健永!?



千「あうん、ちょっとね」

藤「おまっ」

千「ガヤさん!?えっ、なんでいるわけ」

藤「お前こそどうしてここに?」

千「タマに少し用があってさ」



んっ?

が、そのとき俺は見てしまったんだ。



藤「健永、お前の首筋!?」

千「ハッ」

玉「えっ」



とたん流れる沈黙、そして気まずい空気。

暫くして―



玉「話し、長くなりそうだね」

千「タマ」



初めに口を開いたのはタマだった。

まるで、意を決心したかの如く。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ