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君と僕。

第10章 君と僕と誕生日

けど、もしもう一度頑張りたいと思えたのなら、俺は何度でも君の手をとるよ、と。

「もう少しだけ」

もう少しの間だけ、時雨さんの手を握って歩こうと思う。
いつの日か、自分一人の足でも立てるようになったら、その時は。

「僕が時雨さんの手を引っ張っていくんだ」

引っ張られるだけでも、時雨さんのようになりたいと追いかけるだけでもなく。
対等に、僕が時雨さんの彼氏なんだって胸を張れるように。

立派な医者になりたい。

「れーん君、ココアいれたよ。少しだけ休憩する?」

意気込んで勉強をしていたら予想以上に集中してたみたいだ。
時雨さんが入ってきたの気づかなかった。

「この単位終わったらそうします!せっかくいれてくれたのに、ごめ...んむ!」

「ごめんなさいは厳禁。落ち着いたらリビングで飲もう。温め治してあげるから、ね?」

そっと人差し指で口元を抑えられる。
ホント、頭上がらない。

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