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君と僕。

第10章 君と僕と誕生日

時雨さんに出会って、とても涙脆くなった。
こんなに自分が弱いとは思ってなかった。

「ごめんなさいは厳禁、ね?」

「ん」

「まぁ、正直祝ってくれないのかなぁ、なんて思ったけどさ。蓮君頑張ってるの知ってるし」

「違う!違います、実習とか、課題とかテストとか、そんなのを言い訳にしちゃ...」

「蓮君」

少しだけ鋭くなる声。

「ぅ、はいっ」

「君が頑張ってることを、そんなの、なんて言い方しないの。物事には優先順位がある。蓮君がいつだって俺を最優先にする必要は無いし、俺もそういう時もきっとくる。それにね、蓮君」

コツン、と合わせられる額。
温かさが滲んで、また泣いてしまいそうになる。

「君が元気で頑張ってて、俺がその隣を歩けるのなら、俺は充分。なんて贅沢なんでしょう?って感じ」

「でも...」

「蓮君、今度はちゃんと言って?俺まだ世界一可愛い彼氏からオメデトウ言ってもらってないよ?」

優しく微笑むその顔に、僕はいつまで甘えてしまうのだろう。

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