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君と僕。

第3章 君と僕と好奇心

「やだぁ、こわいっぃ」

こわい。
目の前にいるのが時雨さんなの知ってるのに、分かってるのに。

筆で感じない体温。

いつもよりずっとずっと遠くに感じる吐息。

「し、ぐれ……ひゃっ…時雨、さん!やだ、やだぁっ!こわいっ」

予想以上にこわくて、僕は喘ぎながら涙とともに嗚咽も漏らした。
時雨さんのなのに、ネクタイが濡れていく。

「れ、蓮君っ?ごめん、ごめんね?」

目隠ししてても、目の前の人物が焦っているのは分かった。
時雨さんは、僕が泣いてると、いつものストイックさなんて感じさせないほど焦る。

そんな姿を見ると、愛されているんだと、実感する。

ゆっくり抱きしめられて、僕は時雨さんの腿の上に乗った。

筆の感触が消える。

背中に時雨さんの両手が回されているからだ。

「ぐずっ……」

「泣かないでよ」

ネクタイが耐えきれなくて頬に流れていく涙を舐め取られる。
それさえも快楽に感じる僕の身体はホントに、もう、仕方ない。

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