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君と僕。

第6章 君と僕とデート

壊れてしまわないように。
優しく、優しく。

「どこか行きたい場所とかある?」

腕時計をチラリと見れば、時刻は10時45分を示していた。
大体の店は開店する頃だろう。

「うーん、知ってるお店もないですし...」

「じゃあ、少し大きな通りに出ようか。気になる店があったら入ってみよう?」

行き交う人の流れに合わず、ゆっくりと時間が過ぎていく。
少しばかり目線を引くが、蓮君は手を離すことは無かった。

「あ、時雨さんっあそこ入ってみたい!」

無邪気に俺の手を引いて大きな雑貨屋に入る蓮君。
他人の目など気にしているそぶりはなかった。
もうすっかり見慣れない街にウキウキモードだ。

「広いですね」

「うん」

蓮君は野菜をかたどった箸置きや、猫やうざきの描いてある茶碗を手にしては可愛いですね、と微笑んだ。

「そうだね、お揃いの食器少ないし、何か買おうか」

同棲しているとはいえ、元々は俺の家なので、蓮君の食器などは少ない。
元の家から持ってきた物をそのまま使っていたから、色や形も疎らだった。

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