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君と僕。

第8章 君と僕と出張

「れーん君、大丈夫?長くない?」

「ふぇ?」

考え事をしていたせいか、もう1時間近く湯船に浸かっていた。
普段一人で入ると30分足らずで出るから心配してくれたんだろう。

「もー出ます!」

「うん、お水用意しとく」

「ありがとうございますっ」

磨りガラス越しに見える時雨さんのシルエットが離れて、やがて見えなくなる。
僕は何か声をかけそうになったけどやめた。

淋しい、なんて言ったら困らせてしまう。

「...」

お風呂からあがり、タオルで体の水分を拭う。
洗面台の大きな鏡には、僕の腰から上の上半身が見える。

首筋と胸元にキスマークがある。
今朝のやつかな。

ゆるりと指でなぞると、感覚が蘇るようで背中がゾクゾクした。
思い出してしまう前に服を着て、リビングまで走る。

「今日は長風呂だったね。逆上せなかった?」

「はい」

「...蓮君?」

お水を用意してくれている時雨さんの背中に抱き着くと、時雨さんが不思議そうな声を出した。

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