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君と僕。

第8章 君と僕と出張



パタン...


妙なほどの静けさが部屋を支配する。
今日の授業は2限からだから、もう1時間は家にいられるかな。

帰りには文希とご飯に行くし、財布の中を確認しておこう。

寝室に戻り、財布を見れば5千円札が入っていた。
1食ならこれで全然十分だ。

明日は丸1日大学で、明後日は半休だから映画見て、その次は...

「大丈夫、すぐ過ぎる」

そう言い聞かせたのは、時雨さんにか。
それとも、自分自身にか。

一人でいると馬鹿なことばかり考えてしまうと思い、着替えてさっさと家を出た。

大学について、30分ほど時間を持て余す。
図書室の本をとりあえず返し、1階の広場でココアを飲みながら時間を潰そうと思う。

スマホを開くと、時雨さんからメールがきていた。

『駅につきました、荷物多いよー』

『今から羽田向かいまーす』

どうってことない近況報告が、とても嬉しい。
僕は大学にいます、とだけ返し、ココアを口に含んだ。

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