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君と僕。

第8章 君と僕と出張

授業が終わり、文希とラーメンを食べに行こうと駅前まで歩く。

「へぇ、台湾。すっげ」

「行ったことない」

「俺も」

分厚いチャーシューにかぶりつくと、じんわりと肉汁とスープの味が流れ込んでくる。
時雨さんはもう着いただろうか。
ご飯は食べただろうか。

そんな事ばかり。

「あかちん寂しそーな顔してんね」

「んな事ない」

「年上彼女かぁ、いいなぁ」

「文希彼女は?」

「この間別れた」

何かごめん。
とりあえず苦笑を返しておく。

文希は驚く程に長続きしない。
僕が聞いた中で最長は2ヶ月。
1週間なんてざらだし、酷い時は5時間なんていう記録も出した。

優しいのに相手を本気で好きにならないからいつも振るのは女性の方。
告白も女性からだけど。

「モテるにはモテるのにね」

「やめてその言い方!」

ふわふわマッシュの髪を揺らしながら、不釣り合いなラーメンを啜っている。

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