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君と僕。

第8章 君と僕と出張

時雨さんが台湾出張に行ってから3日が経った。

今日は半休だから映画を見る予定だ。
借りてきたDVDを出しながらテレビをつける。

紅茶をいれてソファに座ると、見計らったようにスマホが鳴った。
時雨さんだ。

『今家?』

短い文章だ。
はい、とだけ返信をする。

するとすぐに電話の画面に切り替わり、時雨さんの文字が表示された。

「もしもし?」

『あ、蓮君ごめんね』

「いえ、どうしました?」

『社長がお土産買ってやれって少し時間くれたからさ、何がいいかなって思って。日本とだいぶ食文化違うからさ』

「なるほど。んー、日持ちするクッキーとか、ストラップとかも良いですね」

ちょっと待ってね、と時雨さんが電話の向こうで移動している。
電話越しにいろんな人の声がするから、大きなお土産屋さんにいるのだろう。

『あ、ここクッキーっぽい。見て見て蓮君パイナップルケーキだって、これ有名なんだよね』

「ふふ、時雨さん僕見えないですよ」

『そっか!あはは』

あ、空元気。
電話越しだし、声だけだけどすぐに分かった。

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