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カラダからはじまった愛は

第5章 逢瀬

 運転代行中に自宅に帰ってくることはよくあった。けれど、今夜は早すぎる、まだ、9時半…、
とにかく戻らないと。慌てて下着をつけて、哲にごめんね、と言いわずか200メートルもない道を帰った。途中、会社携帯を庭の隅に隠した。

 家の前には代行車と助手席に運転手がいた。
家に入ると夫はすぐに詰め寄ってきた。

「どこに行ってたんだ!」

しばらく声もだせなかった。

 「 絵里のとこか!」

 「 …うん…」

 
 絵里は私の娘で近所に住んでいた。
だから、私が絵里のところに行っていても不思議はない。ただ、4月に、以前夫が絵里から借りていたお金の返済を巡り、もう絵里に会ってはダメだ!絶縁だ!と夫から一方的に言われていた。

 そのことと、私が絵里のところに行くのにバッグを持っていくわけがない、何を持っていったんだ!と。そのことで夫の怒りは今まで以上に高ぶっていた。

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