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カラダからはじまった愛は

第5章 逢瀬

 バッグを持っていたのは、哲さんへのサンドイッチを作っていったから。絵里に何を持っていった!っていわれても…
言葉に詰まっていると夫は台所から包丁を2本持ち出してきた。
1本を私に向け、もう1本を自分の腹に向けた。

 「 死ぬか!それとも俺が死ぬか!!」

 夫の両手を押さえ暫く動けなかった。

「 やめた!くそっ!!」

包丁を置いた夫は十三のゲージに近づき、十三を持ち上げそのまま裏庭にほおり投げ、窓を閉めた。

 「十三!どっかいっちゃう!」

 慌てて私も玄関から外に駆け出し、裏庭の十三を探した。暗闇の中、十三はすぐに見つかった。


 …帰りたくない…

 哲さんはどうしただろう…


 電話してみた。

 今 駐車場を出たところだよ、と。

 …会いたい
 
 緑ヶ丘高校の前にこれる?


 静かな住宅街の暗闇の中、外灯の下に哲さんの車が見えた。

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