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カラダからはじまった愛は

第7章 運命が動き出す時

 お前が電話しないんなら俺がかける、と夫は勝手にダイヤルを押して瑠衣に携帯を渡した。

 何度めかのコールのあと、哲が電話にでた。

 「 もしもし…」

 「…ごめんなさい…うちの人に携帯見られちゃって…」

 話せないでいると夫は瑠衣から携帯を取り上げて話しはじめた。

 おめーなにやったかわかってんのか!
どう落し前つけてくれるんだ!今からこい! 

 瑠衣は頬の痛みと、哲に申し訳ない気持でただ呆然としていた。来ちゃダメ、そう伝えたかった。夫の執拗な執念深さ、相手を追込む手口、自分には非のないように物事を進めていくずるさ、

 この人から逃げられない

瑠衣は長年のうちに 抵抗することを諦めていた。

 哲さんを巻き込みたくない


 電話を切った夫はニヤニヤしながら言った。

「東京から来るってよ、うれしいか、
 面白くなるな〜」

 それから、瑠衣の実家の兄に電話しろ、と。
 
どうして?と聞いても

いいから、明日 俺が行くってだけ言え、

そう言われ兄の携帯に電話をした。

 「 なにしたんだ、こんな時間に 」

寝ていたらしく、怪訝そうに電話にでた。

 「 大内がなんか話あるから明日行くって 」
 「なんの話だ」  
 「こっちのことだと思う、明日また電話するから」

 瑠衣の浮気のことを兄につげ、瑠衣をさらにしばりつけるつもりだろう、
そう思った。
 
 

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