勝手に運命感じてます
第1章 運命の出会い?
「郁、どしたの? 何回もちっさい胸を押さえたりして」
一緒に廊下を歩く凛ちゃんに、余計な一言を言われながら顔を覗き込まれた。
「…………凛ちゃん」
「何?」
「私――先輩が好き」
「早っ! アンド、ちょっと助けられただけでチョロすぎる!」
凛ちゃん、容赦ないツッコミをありがとう。
「早くてもチョロくても、好きになったことに変わりはないもん。
それに……初めてなんだ。姿を思い出しただけで、こんなにきゅんきゅんする人は。
もしかして、私と先輩って……運命なのかもしれない」
と、物語のヒロインみたいに、廊下の窓に手を合わせてうっとりと遠くを見た。
「よし、わかった郁。まずは落ち着こう。そして、今日はゆっくりと休みなさい。そしたら気持ちもトーンダウンすると思うから」
「凛ちゃん! 私の気持ちを疑うと言うの!?」
「いいから、そのヒロインみたいな演技やめなさい。
郁ってば、熱しやすくて冷めやすいところがあるでしょ。今回もたぶん、それ」
「違うもん! 今回ばかりは冷めたりしないんだからぁ!」
「そのセリフも毎回言ってるでしょうが! ……あ、ちょっとどこ行くの!?」
「先輩に会いに行って、確かめてくる!」
「何を!?」
「運命の人かどうか!」
「バカ! まだホームルームがあるでしょうがっ!」
「いでっ!」
また出た、凛ちゃんのデコビンタ。
そして、そのままあっけなく凛ちゃんに捕まり、連行されたのであった。
む、無念……。