勝手に運命感じてます
第1章 運命の出会い?
ところが――
「うわ~ん。先輩がいな~い」
全クラス覗いてみたけど、先輩の影も形もない。
一体、どこにいるというのですかぁ~?
私と凛ちゃんは、三年生の皆様から注目を浴びながら、廊下を歩いていた。
「きっともう帰ったんだよ~。今日は諦めて、早くここから去ろう?
ほら。今日入学したてのうちらが、いつまでも三年ゾーンにいると目立つし、目を付けられそうで怖いし~」
私よりも身長が10センチも高い凛ちゃんなのに、私よりも身を縮こませて、私の後ろにピッタリしがみついてビクビク歩く。
凛ちゃんって、面倒見が良くてしっかりしてるのに。こういうところは何気に小心者なんだよねー。
「それが何さ! そんなことで怖がってたら、先輩探せないじゃん!」
「郁って、こういうところは何気に心臓強いよねー」
「あったりめぇじゃん! 私の運命がかかってるんだから!」
「……なぜ『当たり前』のところだけが、江戸っ子口調?」
「とにかく、私もうちょっと探してみるから。凛ちゃん、つき合ってくれてありがとう。じゃあまた明日ね!」
「ちょっと待って! こんなところで一人にしないでよぉー!」
三年ゾーンに凛ちゃんを置き去りにし、私は一人で先輩を探すことにした。