勝手に運命感じてます
第1章 運命の出会い?
「くっ……。テメェ~、タダで帰れると思うなよ」
ギャー、ヤバイですって! 早く謝らないと、殺されちゃいますよ~!?
ん? この人、こんな時にスマホを出して何をするつもりなんだろ?
まさか、この状況を画像に収めて、SNSとかに載せるんじゃ……。
『俺。裏世界のヤツ、マジで蹴飛ばしたナウ』……とか?
けどその人は、撮影することなくスマホを耳に当てた。
「……あ、もしもし? 警察ですか? 助けて下さい。今、恐いお兄さんが女子高生に襲いかかりまして。場所はですねー……」
なんと、警察に通報してるーっ! しかも、目の前で堂々と!
「おい、やめろっ! わかった、俺が悪かった! だからもういいだろ!?」
裏世界のお兄さんが焦ってる。
「……すみません。解決しましたので大丈夫です。お騒がせしました」
通報を取り消したら、裏世界のお兄さんは「チッ」と舌打ちをして去っていった。
この人、力だけじゃなくて、肝も座っててすごく強ーい。
ていうか……殺されなくて良かったぁ~……。
「ちょっと、郁! 大丈夫!?」
「こっ……怖かったし……腰が抜けたぁ……」
うぅ……。こりゃしばらく立てそうにないや。