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Melty Life

第4章 崩壊



 自ずと口許が綻んだ。

 百伊や山下がそんな水和を冷やかす。もうとっくにあかりに堕ちたのではないか。友人達の軽口は、満更でもないかも知れない。
 しかしあかりと出かけたのは一度きりで、新入生歓迎会以来、顔を合わせてしっかり話したこともない。これだけLINEを送り合っているから、親しくなったつもりがしているだけで、実際、水和は誰からも逃げている。あかりだけではない、来須も竹邑も、彼らが待ってくれているのを良いことに、自分のことにしか頭が行き届いていない。



「私、性格、悪いな」


 山下と美菜梨と分かれて、バス停が同じの百伊と二人きりになった時、水和はもどかしさに耐えかねた。


「台本が決まったら、配役が決まったら……って、どんどん先延ばしにして。今度は本番、って、なってる」

「水和は不器用なとこあるしね。ズル出来ないのは、良いとこだ」

「三人に振られちゃったりして」

「じゃあ、振られたくないのは誰か。考えてみるとか」

「…………」


 そんな逆算、水和には難しい。

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