Melty Life
第4章 崩壊
横目に盗み見る百伊は、少女達が胸をときめかせるのも頷けるほどに玲瓏だ。
中学校に進学して、偶然クラスが同じになって、百伊から水和に話しかけてくれた。彼女なら、もっと他に明るく積極的な生徒と仲良くなれたのに。わざわざ内向的な水和に親切にしてくれて、一緒に見学に行った演劇部に入ることになって、ますますくっついているようになった。水和は、いくら頑張っても、彼女に相応しい友人にはほど遠いような劣等感があった。
あの頃、百伊の友人として自分を測って、後ろ向きな思いに陥っていたのではない。水和は百伊が初恋だった。交際したいだとか、片想いから先の関係は望まなかったが、友人として出逢わなければ、彼女に焦がれ続けたと思う。
「百伊は、告白された時、どうしてる?」
「今のとこ進展したことない」
「……だよね」
「水和も、難しく考えなくて良いじゃない。恋って、欲望だし。もし相手を大事に思うなら、それもある種、欲望でしょ。こういうのは身勝手になろう」
「…………」
こうして百伊は、水和の内面も、醜い部分まで、これからも否定しないでただ一緒にいてくれるのか。