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Melty Life

第4章 崩壊


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 市街地に着くと、あかりと水和は昼食をとって、休日に比べてひとけのまばらな商店街を散策することにした。

 大方の試験科目が終わった辺りで、水和のクラスではファッション誌やアパレル系ウェブサイトが、久しく女子生徒達に見られるようになったという。水和も中間テストを乗り越えたあとの日々に胸弾ませて、ゆめかわファッションやロリィタが扱われた雑誌をこっそりめくっていたという。電車に揺られていた途中、そしてランチセットをつついていた中で、彼女が事前に目をつけて楽しみにしていたと話していた品々は、実際の店舗に行くと、新作含めて揃っていた。


「あかりちゃん付いてきてくれて有り難うっ。あぁぁ……やっぱり可愛い、ね、このワンピとかすごくない?オーガンジーがキラキラしてて、袖口のフリルとレースの重なり具合もすごい好き!」

「とても水和先輩らしいです!絶対似合う。水色も妖精さんみたいだし、こっちのピンクでも、髪の色とギャップがあって可愛いと思います」

「だよねー。似合うかは別として、私もこの二色で悩む。あ、でもね、向こうのカーディガンとスカートもセットで着たら可愛いだろうな……って」


 水和は、太陽の光をふんだんに浴びて輝くみずみずしい果実のように笑って、果てしない花園を贈られた少女のようにはしゃいでいた。クラスメイトや演劇部の部員達は、いつも、こんな水和を見ているのだろうか。よく話す彼女、真剣な彼女、時に困難に行き当たる彼女、そして今のように嬉しげな彼女。友人や、あかりより近しい下級生なら、水和の千差万別の表情をもっとよく知るのだろうか。

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