Melty Life
第4章 崩壊
あかりは一歩遅れて水和に続く。
しんとした中、靴下の床を叩く足音が微かに連なる。三つ編みに結っていても分かる、水和の肩をくすぐるウェーブヘアは悩ましげな曲線を描いて、見るからに艶やかだ。後れ毛の落ちた白いうなじに狭い肩幅、チェック模様のプリーツスカートから伸びた裏ももは白桃を想う生気を湛えて、水和のような背丈だと、際立って長身の少女より、却ってまるい印象が出て愛らしい。
二階にある水和の私室は、あかりの想像に違わなかった。
家具は白で統一されてあって、カーテンやベッドカバー、クッションなどは、ピンクと青がほとんどの面積を占める。狭くてごめんね、と、水和はあかりに椅子を勧めた。それほど狭いと思わないのは、ひと目で家具が場所をとっているのが分かったからか。寝台は本格的な天蓋付きで、クローゼットは二つ、テーブルはドレッサーと勉強用が兼ねてあるようで大きく、本棚、それから一角には収納用のコンテナが積んであった。
水和は、買ってきたばかりの洋服をクローゼットに片付けていった。
あかりはくるくる動き回る水和を見つめる。彼女の選んだ洋服も、この部屋も、彼女自身も、いくらでも見つめていたい。水和に関する全てのものは、あかりを全く飽きさせない。