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Melty Life

第4章 崩壊




「…………」


 本当に、どうしようもなく好きだ。

 さっき父親が帰宅したらしい、窓の外から扉の開いた音がした。時間は刻一刻と、夜に向かっている。あかりももうじき今度こそ、水和と離れなければいけない。次はいつ会えるかも分からない水和と、どれだけの距離を縮められたか不確かなまま、この胸に満ちた煌びやかなものをこぼさないよう抱えて、帰路に着かなければいけない。

 恋愛は匙加減が難しい。

 どこまでが相手のための線引きで、どこからが臆病ゆえの怠惰か、区別つかない。あかりは水和の返事をいつまでも待つ。しかしそれは、こうも求めてやまない彼女を想う努力として、滑稽な姿勢なんじゃないか。もっと熱心に距離を詰めていこうとすれば、本当は伝わるのではないか。

 沈黙は、無数の言葉を包含している。

 あかりが水和を見つめると、水和もあかりを見つめていた。

 友人として親しくしているわけではない少女の招きに応じたことは数知れない。彼女達の分かりやすい振る舞いは、あかりの肩の力も抜かせていた。かたちばかりお茶を飲んで、かたちばかり語らう。しかし彼女達の濡れた双眸は、いかがわしい行為への期待を湛えていた。あかりも彼女達との強烈な甘さを欲していた。


 水和を引き寄せて、ささめくように彼女の気持ちを窺って、唇を重ねる。

 常のあかりならそうしていた。前置きが長すぎた。


「どきどき、してます」

「ふふ。私なんかと一緒にいて?」

「水和先輩、たまにすごい謙遜しますよね」

「あかりちゃんこそ、綺麗なのに全然自覚ない感じだよね」

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