Melty Life
第4章 崩壊
「あー、そうなんだ。失敗もしなかったけど、成功もしなかったんだね。まぁ納得。未だに同級生止まりとか、やばいでしょ。君、見かけによらず暗い。ってか童貞?」
「テメェ今の話、聞いてたか」
「お父さんがろくでなしだから、一生そいつの奴隷だって話でしょ。親なんて何とかなるよ。私は物心ついた頃、身内はお婆ちゃんお爺ちゃんだけだった。その人達とも血が繋がってなかったんだって知ったのは、高校入ってすぐの頃」
「おい。個人情報大丈夫か」
「君の話に戻るね。その水和さんって人、仮に金髪くんがその人のために強くなったとして、その人は金髪くんを守るために何か努力してくれるの?」
「お前は、好きなヤツに見返りを求めるのか」
「ううん。一緒にいてくれれば十分。好きすぎて信頼しちゃってる。私が守ってあげなくちゃいけないほど、その子は頼りなくないんだ。金髪くんは、それだけ信じられる人に、今恋してる?」
ゆうやは通路の端に寄って、憎たらしいほど非のうちどころのない美人を見澄ます。
妖艶な女は掃いて捨てるほど知っている。彼女らに引き替え、莢は十代という若さを差し引いても、計算高さや媚びたいやらしさを感じない。数知れない少女達をたぶらかしてきたと聞くが、実際は一途なのだろう。
莢の言い分も分かる。
ゆうやも水和を信頼すれば、この想いが彼女の将来のどこかしらに暗雲をもたらすことはない、望みは確信になるかも知れない。