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Melty Life

第4章 崩壊



「なぁ、はぁっ、良いだろ?……はぁっ、お母さん今日はいないんだ……。娘なら浮気にはならないもんなぁ」

「離して!咲穂!!」

「おいおい、咲穂はよしてくれ。くくっ、娘としてだが愛情があるからな、愛があればお母さんへの裏切りになる」


 この父親が、もし日頃から優しかったり親身だったりしたなら、あかりも少しは恐怖を覚えられただろうか。

 父親が自分の身体をいじったところで、特に嫌悪感しかない。
 あかりには、今更こじ開けられて激痛にのたうつような場所がある気はしないし、元々親らしく振る舞ってきた試しのなかった男に、親らしからぬ行為を許したところで、何か失くすものもない。父親の機嫌を損なわせて、付けなくても良い傷を目立つ部分に付けられるより、穏便にことを済ませるべきかも知れない。


 頭では妙諦しても、あかりの身体は持ち主以上に自己防衛本能に長けていた。まとわりついてくる腕を振りきって、脱衣室に駆け込んだ。父親が怒鳴り散らしている。タオルと着替えを飛びつく勢いで拾い上げて、一心不乱にリビングまで逃げきると、手早く着衣して髪を拭った。


「待て!あばずれの娘が何様だ!誰がここまで面倒見てやったと思っている!」

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