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Melty Life

第4章 崩壊


* * * * * * *

 眞雪と彼女の両親に深夜の訪問を謝り倒して、勧められるままお茶を飲んで、冷めきっていた身体を温め直した。

 タクシーに揺られていた間、水和に関するものばかりがあかりの思考を占めていた。一時間近く話し相手もなく車窓を眺めて、おおかた平均的だろう眞雪の両親と話して、良質な眠りから覚めたあかりは、ようやく昨夜の出来事が常軌を逸していたと認められるほど落ち着いた。

 眞雪は両親に、あかりは父親の暴力から逃れてきたという説明をしていた。平和的な思考を備えた彼らは、あかりに専門機関への相談を提案した。眞雪の家に世話になる時、ことあるごとに繰り返してきたやりとりだ。しかし昨夜も頷けなかった。


「おはよ」


 ひと足先に目を覚ましたあかりに次いで、眞雪はスマートフォンの目覚ましアラームで起床した。明るんだカーテンに顔を向けていたあかりがそのアラームに振り向くと、黒目がちな寝ぼけ眼が人懐っこく微笑んだ。


「おはよう、眞雪」


 学校の準備を始める段階になって、あかりは身一つで飛び出してきたことにはっとした。

 眞雪は定番のツインテールを作りながら、コスメは適当に使ってくれと、それらの場所を目で示す。制服も貸してくれた。

 甘酸っぱい、いかにも女の子といった感じの化粧水を肌に叩く。なるべく控えめに色づくリップグロスを選ぶ間も、やはり一度帰宅すべきかと悩む。眞雪のコスメを使ったあかりの顔は、心なしかいつもより優しい印象だ。

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