Melty Life
第4章 崩壊
「そうかなぁ?あかりは肌白くて儚げで、こういうのも絶対似合うよ。私からしたら皇子様なんだけど」
「褒めすぎ。やっぱり帰ろっかなー、眞雪、先生に言っておいてくれない?」
「帰るなら私も付いていく。確かに、教科書ないと困るよね。あ、お父さんに会って殴ったらごめん」
何を話しても、眞雪はあかりを肯定する。あかりに優しい受け答えしかしない。
そんな眞雪に、あかりは昨夜も包み隠さず終始を話した。誰かに聞いて欲しかったのか、そこにいたのが眞雪だからか。決してあかりを傷つけない。
眞雪に、いつまで甘えるつもりなのだ。
中学校からの親友で、彼女もあかりに相当の好意を向ける。そこにみだりがましい欲望はない。彼女の好意は、爽やかだ。そしてあかりが眞雪に向ける必要性も、健全な少女らしい友愛、信頼。この居心地に執着している。
階下に降りると、眞雪の父親がフライパンと奮闘していた。朝食係を務める会社員姿の男は、戯れ合う少女らの明るい声に振り向いた。
「おはよう、あかりちゃん。眞雪。いやぁ、油は凶暴だな。跳ねる跳ねる。僕が朝飯を作ると、サラダや煮物ばかりだってお母さんが文句を言うからね。炒め物に挑戦してみたんだが……」
「お父さん、お客様の前で。これじゃ、私があかりちゃんにわがままだって思われるじゃない」
「え、お母さん、いつも言いたい放題でしょ。お父さんにも私にも」