Melty Life
第4章 崩壊
…………ところで、胸が当たる。
眞雪の豊かとまではいかず乏しくもない胸の弾力にうずまる腕に、あかりが些か罪悪感を覚えていると、ついと親友が足を止めた。
「眞雪?」
「あれ」
目を凝らす眞雪の視線を追った先に、睦まやかな人影が二つあった。
一方は、肩に触れるか触れないかほどの茶髪の女だ。そこそこ遠くに見えるその人物は、あかりほどの視力だと辛うじて顔の雰囲気が分かる程度だが、服装からするに三十代から四十代くらいと見える。
もう一方は、学生服姿の男だ。目をひいたのは、金髪だ。ウルフカットというのだろうか、無造作に伸ばした不揃いな髪は、どこか垢抜けた感じがある。
「竹邑先輩……?」
眞雪が怪訝そうなのは、同級生に片恋しているはずの竹邑が、見ず知らずの女と馴れ馴れしくしているからだ。しかもこんな時間にである。
竹邑に似た男子学生は、女のキスを頰に受けて、女に抱擁を施すと、彼女とは別方向の、学校へ向かう駅の方角へ立ち去った。