
Melty Life
第4章 崩壊
校舎を出ると、高等部一年生達の群れに出くわした。
数人の女子生徒らが千里に振り返る中、ある一グループが不躾な視線を向けていた。
先日ゆうやを探していた途中で見かけた、それからまた別日すれ違った、潔いほど堂々として校則違反している女子達だ。
「来須先輩、おはようございます!」
「来須先輩も移動教室ですか?」
「今週の全校集会スピーチも素敵でした。次も楽しみにしています!」
下級生達に笑顔で応じながら、千里は宮瀬咲穂を横目に見る。いや、横目に見ることもままならない。咲穂も、食い入るように千里を凝視しているからだ。
華やかな蝶を彷彿とする下級生は、長い髪とピンク系の化粧も相成って、何度会っても姉とは似ても似つかない。
彼女らの輪に、一人だけ雰囲気の違う生徒がいた。随分と幼い感じの、スカート丈も校則に定められた通りの、もちろんメイクもしていない、ツインテールの女子生徒である。全員分の教科書やらの荷物を持たされているようで、しずしず同級生に従っている。
