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Melty Life

第4章 崩壊



「何で?」

「来須くんが寂しがってるから。水和、この間あかりちゃんに大サービスしたんでしょ。他の二人が泣くよ」

「えっと……」

「水和って積極的な時と、そうじゃない時の差が激しいしね。興味ないなら仕方ないけど。来須くんファンのためにも、断るなら早い方が」

「うん、……」



 知らないことが想いを受け入れられない理由になれば、知らないことが想いを拒む根拠にもならない。

 千里にもあかりにも、ゆうやにも、水和より確かで強い想いを向ける生徒達は、他に大勢いるはずだ。それなのにいつまでも先延ばしにする水和は、きっとひどく自分本位だ。だが友好を深める前に終止符を打ってしまうのは、例えば食わず嫌いと同じくらいもったいないと思う。

 学年の違う、意図して顔を合わせようとしなければ一ヶ月会えないこともざらにあるあかりは却って水和から連絡をとったこともあった一方、千里とゆうやは中途半端にしている。彼らのことはいつでも知れる、いつでも話せるからと思って避けてきた内に、また季節が移ろおうとしてしまっている。


 違う。


 それも違う、本当は──…。

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