
Melty Life
第4章 崩壊
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水和がこうも取り乱した千里を見たのは、初めてだ。
言っては悪いが、水和に告白してくるまでは、年相応の感情があるのかも疑わしかったクラスメイトは、昼間の生徒会室で、顔面蒼白で震えていた。
千里の異変にぎょっとしたのは、水和を生徒会室に連れてきたはのも同じだ。
来須の当主の緊急入院。
搬送先では、きっと水和には未知のクラスのエリート一家が、当主の安否を案じている。一般庶民が顔を出しても浮くだけだろうが、この状態の千里一人を送り出すには心許ない。
友人として放っておけないと言い出した水和に、案の定千里は難色を示したが、業務さえ残っていなければ自分達も付き添いたいくらいだったという森本や田辺らの熱弁が、彼の心を動かした。
「おじいちゃん!」
「遅いぞ、千里」
「そちらの生徒さんは?」
検査室前に待機していたのは、水和が身構えていた以上に厳格を絵に描いたような両親達だ。
愛らしさを残した、しかし従容たる知性と優美を兼ね備えた母親と、一貫した己の信条と、どんな干渉にも屈服しまい無言の威信を背負った父親。
彼らに会うや心なしか背筋を伸ばした千里の斜め後方から、水和は二人の大人達に会釈した。
