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Melty Life

第4章 崩壊



「最近いじめられてない?あまりひどかったら、クラスに潜入調査して証拠押さえまくるから言うんだよ」

「眞雪ならやりそう。一緒に行こうかな」

「あっ、大丈夫です。本当に最近は何もなくて……」

「まぁ高校生にもなったら、いじめどころじゃないか。一年生って言えば、受験のストレスもないしねぇ」

「知香ちゃんも明るくなったもんね。顔色も良くなったんじゃないかな。安心」


 まるで妹の成長を喜ぶ姉同士、朗らかに微笑みを交わすあかりと眞雪に、知香ははにかんだ顔を向けて口を開いた。実は、と、知香は彼女自身が中学生の時分に比べて変わった自覚があることを、話し出す。

「お化粧とか、持ち物とか、少し興味を持てるようになったんです。ダサいっていじめられていたから、少しは普通になれているんでしょうか……」

「普通ねぇ、分かんないけど、知香ちゃん可愛いから嫉妬されてた可能性は考えられる」

「好みの問題だしね。ダサいとは思わなかったな、あたしも流行には疎いし」

「本当だ、あかりなんか初デートで私に服選──…」


 はっと眞雪が口を噤んだ。おそらく彼女が思い出したのは、あかりが水和との約束の前日、眞雪に洋服のアドバイスを求めたこと。知られて困ることでもないのに、何故、そこで黙る。


「どうしたんですか?」

「う、ううん、何でもない。それにしても、知香ちゃん色気づいてない?恋でもしてるのかなぁ?」

「っ……。あの、それは……」

「おおっ、図星?」


 しかし眞雪の諧謔に、知香は首を横に振った。

 眞雪先輩の気のせいです。

 これでもかと言わんばかり自己評価の低い知香らしい、謙遜的な面持ちだ。

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