Melty Life
第1章 告白
「えっと、宮瀬さん?一年生?」
「はい」
「話は聞かせてもらったよ。くあぁー、君もライバルか。ま、避難訓練の件に関しては、花崎さんの魅力に免じて見逃してあげる」
「助かります」
「とりあえず、このゆうやは俺が押さえておくね。でも、誰が花崎さんに良い返事をもらえるか。それは歳下の女の子だからって、手加減しない」
「そのつもりです。花崎先輩に、妥協してもらおうだなんて思いません。先輩は素敵な人ですし、こうしてお側に並ばせてもらえるだけで光栄です。全員失格の可能性も視野に入れてます」
「テメェふざけてんのか──…」
「ゆうや」
茜さす夕まぐれの住宅街に、色事で揉める四人の生徒達……。
買い物袋を提げた子連れの父親が、不躾な好奇の視線をあかり達に向けて、通り過ぎていった。
「さて、どうしようか」
「…………」
「花崎さんも、困るよね。一人も手を引く感じじゃないし」
「私、は……」
眉を下げて毛先を指に絡める水和は、たゆたいがちな表情とは裏腹に、変わらず背筋はぴんと伸びていた。隙のない、堂々とした佇まいだ。
ともあれメルヘンチックな梱包の施されたチョコレートは、とうとう二人の少年達から、水和の手に渡っていった。受け取ったからといって、告白に応じたわけではない。余ったチョコレートを本人達で処理するには虚しい、といっただけの理由だ。
一段と手荷物の増えた水和は、しばらく思考する素振りを見せたあと、改まって口を開いた。
もし貴方達の負担にならなければ。
前置きして、水和は、彼女なりに導き出した解決案を提示した。