Melty Life
第5章 本音
ホックの外れた下着の絡みついた小野田の腕を撫でながら、あかりは彼女の首筋や鎖骨にキスを散らす。しとりで微かに煌めく肌は、普段、日を浴びていないのが分かる。あかりが記憶していた以上に白く、無垢だ。触れてくすぐる度、吸い上げる度、小野田は今にも気を遣りそうに悲鳴を上げて、腰を揺らす。凄艶なその身のたわみに引きずり込まれるようにして、あかりは愛撫の妨げになる下着を落として、既に小野田が寝台に放り出していた内股を更に開く。
じゅる、じゅる、ちゅぅぅぅ……と、唾液を塗りつけた乳首の先端を口に含んで舌先でつつく。
こんな普通の愛撫、感じるんですか。
あかりが小野田をいたずらに見上げると、不感症じゃないもの、と、恨めしげな睨みが降りてきた。
軽く浅瀬をくすぐるだけで、初めから指三本は進入させられる小野田の性器は、無知な少女とはほど遠い。とめどなく愛液の這い出る女の器官は、幾重もの熱い襞の壁が指をふやけさせるのではないかと思うほどあかりにじゃれついて、小野田自身も切迫した悲鳴を総身の高揚に乗せた。
貫いた秘境を虚ろにして、また貫く。繰り返し指を抜き差ししながら、記憶にある限りの敏感な部分に刺戟を与えて、その間にも、あかりは小野田とキスを交わす。
相変わらず恋愛感情など微塵もないが、喪失を恐れる必要も、永遠を願う必要もない小野田との熱に浮かされたようなひとときは、あかりを束の間の不変に抱き込む。
女の本能に飲まれていった小野田は、びくびくとつま先を慄わせていた。まるで陸に打ち上げられたばかりの人魚だ。いつまでも尾鰭にくるまれた感覚でいる、官能漬けになった女の成れの果て。
「抱き締めて欲しかったのに、犯しちゃった……」
「今からするわ、抱き締めるだけなら……」
「それだけで足りません」
「あかりちゃん、私は出張中も、いやらしい玩具持ってることは知っている?」
「知らなかった、かも」
てかてかに光った乳房をぼろんと露出させた小野田の横たわった裸体にすり寄って、あかりは彼女のみぞおちに立てた指先で円をなぞった。気持ち良いのか痛いのどっちが良い、と、笑う小野田に、どっちも欲しいと笑い返す。