Melty Life
第2章 初デート
思いきって前進したあの日から、まる一ヶ月が過ぎた。
聖ヴァレンティヌスの記念日からすれば、この日が盛り上がらないのは、意味深なチョコレートは世間の想像ほど流通していないからか。
あかりの高校に関しては、進学校というのが大きい。期末考査の期間が被って、ホワイトデーところではない。
ただし、今年は便乗してしまった。
そのホワイトデーに備えたものが、今朝起きるとなくなっていた。
昨夜まで部屋のクローゼットに仕舞っていたのに。
あかりはリビングに隣接するキッチンで朝食をとる家族の話し声を背にしながら、思い当たる場所を探索していた。私室になければ、念のため、思い当たる場所は見てみる価値はある。
「あかり、何探してるの。今日、ゴミ回収日よ。出してきた?あんた昨日、咲穂(さきほ)の洗濯物も畳んでおかなかったでしょう。掃除も全然手伝ってくれていなし。この子、困ってたわよ」
「ごめん」
「ったく、使えねぇな。おいあかり、どうせ何か探してるなら、ついでに埃でも払っとけ」
「お父さん、お母さん。お姉ちゃんに言っても無駄だよ。どうせ試験を言い訳にして、色々サボる気なんだから。今日は私が片付けてあげる」
「ダメよ、咲穂。貴女は来月入学式でしょ、手でも怪我したらお母さん一生の後悔するわ。ゆっくりしていらっしゃい」