Melty Life
第2章 初デート
以上の一部終始を友人達に話し終えると、眞雪(まゆき)があかりに紙袋を差し出した。
「はい。ってか、咲穂まじありえない」
いわゆるデパ地下コスメショップの上品なロゴが印字されたそれは、あかりが水和へのプレゼントを調達した帰り、衝動買いした追加のひと品が入っている。
店に並んだコスメは、どれもとりどりの花や宝石よろしく目を惹かれるものだったし、あかりが目に留めた店は紙袋の色にたがわずピンクがテーマカラーらしく、ケースやコスメアクセサリー、梱包は、まるでプリンセスの私物をイメージする凝りようだった。
「これだけでもかなり本命っぽいよ。買い物に付き合った私が預かってて、良かったね」
「ありがと」
「◯◯のコスメじゃん!あんたイケメン?」
「玲(れい)でもそういう反応するんだ。脈あるかな」
「私なら惚れる」
「うぅ……大丈夫かなぁ、まぁ花崎先輩なら好きそうだけど。私なら彼氏がこういうのくれたらドン引くかも。女が皆こういうの喜ぶと思うな!って」
「ええっ」
好き好きに感想を述べ合う二人は、邦田ともかと(くにたともか)と吉澤玲(よしざわれい)だ。
中学からの付き合いがある眞雪と違って、彼女達は昨年春、外部受験生同士自然と行動を共にするようになっていた仲だ。ちなみに玲は、眞雪の遠い従姉妹だ。
同じプレゼントを見ても百八十度反応の違ったともかと玲は、見た目からしてタイプが違う。ともかは四人の中で唯一テニス部員という体育会系で、片や玲は学校に隠れてアルバイトに明け暮れ、稼ぎは全て某巨大SNSの投稿用の洋服やコスメ、スイーツにつぎ込んでいる。