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Melty Life

第5章 本音


* * * * * * *


 あれから八ヶ月が経った。


 三月初めに淡海ヶ藤の卒業式を迎えた水和と来須は、地元の私立大学への進学が決まっている。
 来須は両親を始めとする親族達の猛反対を押しきって、志望校を水和に合わせた。竹邑は彼らに未練もないようだった。二学期、教師達が内心ではお手上げだった彼の金髪は真っ黒になり、元々十位以内に入っていた成績は、学年トップを維持し続けた来須を追い抜くのではと予想する生徒達も出てきたほどの向上ぶりだった。それより水和が驚いたのは、髪を染め直した竹邑こそ、彼女の小学生時代、恩人だった少年と瓜二つだったことだという。彼女の思い出の「ゆうくん」は、竹邑だった。そんな竹邑は、知らない人間はいないだろう国内屈指の国立大学の合格を遂げ、事務所の社長が合格祝いにと包んだ金を持って、父親の支配を逃れたらしい。


 まだ冷たい風を含んだ春の気配に包まれて、あかりは来須と街に出ていた。


 誕生日。


 三月中旬を過ぎたこの日、毎年、眞雪ら友人達と過ごしていた。今年もそのつもりだったあかりに、来須が先に声をかけてきた。遠慮してしまった彼女達とは、日を改めることで収まった。



「なぁ」


 可愛らしいウサギ柄のルームウェアを吟味しながら、来須はおそらく後方にいるあかりに向かって口を開いた。


「ごめんな」

「何が」

「彼女の、こと」

「…………」

「本当、ごめんな」

「…………」


「俺はあかりも、心から大事にしたい。あの人と同じくらい、本当だ。今まで何もしてやれなかった分、最低な兄だった分、埋め合わせをさせてくれ」

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