Melty Life
第1章 告白
「ば、バレンタインデーです。受け取って下さい!!」
「え?」
「突然、ごめん。ほとんど話したこともないのに……気持ちだけは、本気です。情けないけど、こんな時しか、機会を狙えなかったっていうか……」
「…………」
「俺、頭悪いし、こんな見た目だし、先公には目、つけられてるし……はっきり言って、身のほど知らずの自覚はある。けどこいつに負けないことが一つだけある。友達からで構いません、花崎さんのことが知りたいです!」
「俺も友達からで構いません。なんか、いつでも我が道を歩いてるっていうか、自分を持ってて、好きなことに素直で、まっすぐで、そんな花崎さんがすごいなって……一年の頃から思っていました」
「…………。来須くん、……竹邑くん……」
聞けば、来須と竹邑は親友と呼び合う仲らしい。
水和が彼らと同じクラスになったのは二年の今年が初めてで、教室では仲良しグループにこもっているから、周囲の、特に男子生徒の交友関係まで把握しきっていなかった。
二人は、同じ相手に好意を寄せていたことを、互いに打ち明けていた。当人である水和との接点はほとんどなかった。しかしまもなく本年度が終わる。来年は受験を控えていて、引き続き同じクラスになれる保証もない今、今日のバレンタインデーを機会に、親友揃って当たって砕ける覚悟を決めたのだという。どちらが勝ってもどちらが負けても、恨まないという取り決めで。