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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第3章 2人の受験生

 突然の邪魔者登場に動揺しまくる俺。勉強の出来る同級生か…。やっぱ6コ下って不利だよな、いろいろ。そんなことを考えながら、何やら丁寧に、鈴に勉強を教えているソイツと、嬉しそうな鈴のやり取りを盗み見る。コイツ、絶対に鈴に気がある。じゃなきゃ、いくら勉強が出来るって言ったって、大事な受験時期に自分の勉強時間を割いてまで人に勉強教えるハズが無い。

 でも、今、鈴が嬉しそうにしてるのは、さっきまでわかんなかった問題が解けたからであって、間違ってもソイツに気があるわけでは無い!断じて違う!…と思う。思いたい。

 2時間ほど勉強したあと、ソイツは、一緒に外へ昼食を食べに出ないかと誘ってきたが、鈴と俺は弁当を持ってきてるからと言って断った。母さん、ありがとう。母さん、グッジョブ!!
 鈴の家は、おばさんもパートで働いていて結構忙しいので、専業主婦の母さんが「いつも子ども二人が鈴ちゃんのお世話になっているお礼に」と、鈴の分と俺の分と、二人分の弁当を作って持たせてくれたんだ。
 塾の休憩室で一緒に弁当を食べる俺と鈴。小学生で日曜日まで塾に来てるやつはほとんどいなくて、俺自身は全然友達には会わなかったんだけど、高校生はそこそこの人数がいて、鈴のほうは食事中も何人かに声をかけられていた。

「あー。鈴じゃん。その子誰?弟?」
「…みたいなもんかな」
「可愛い~。これは将来イケメンになりそう♪鈴ぅ、あたし、青田買いしちゃってもいい?」
「もー、サキったら、何言ってんのよ」

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