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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第3章 2人の受験生

 何人かは会釈か挨拶程度で去って行ったけど、鈴の隣に座って声をかけてきた、ちょっとチャラそうな雰囲気の姉ちゃんは、サキって名前らしい。茶髪でミニスカート。あんまり俺の好みのタイプではないが『将来イケメンになりそう』と評価してもらったのは悪くない。この発言がキッカケで、少しでも鈴が俺のことを『弟』ではなく『男』として意識してくれるようになると、いいんだけど…。

「将来イケメンかぁ~。確かに、わりと可愛い顔はしてるけどね。でも私、この子が小学校入学する前の、ほんとにちっちゃい頃から知ってるのよ。だから、ほんと、まさに弟って感じよ」
「今はそんなふうに思ってるかもしれないけど、男の子って、中学から高校あたりで大きく化けるよ~。ちっちゃいな~、可愛いな~、って思ってた子が、いつの間にか『男』に成長してて、知らない人みたいに感じてさ、マジでビビるから」
「なんか、実感こもってんね。誰か想定してる人物いるの?」
「ん~、まぁ、いろいろとね」

 そんな会話を聞き流すフリをしながら、心の中でサキさんとやらに、拍手喝采を送っていた。
 いいぞ、いいぞ!もっといろいろ言ってくれ!そしたら鈴が、ちょっとは俺のことを意識するようになるかもしれないから!

 弁当を食べ終わって、午後からもまた自習室にむかった俺と鈴。なぜか、さっきの色白メガネと、サキさんも一緒に自習室で勉強をすることになった。

「青山くん、凄い!天才!!ちょっちょっ、次、ここ!ここ教えて!!」

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