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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第5章 運命の日

「もー!牛乳が無いじゃん!おにぃ、最近飲み過ぎだよ」

 冷蔵庫を開けた美羽が文句を言ってくる。最近は、早く大きくなりたいという思いが強過ぎて、ついつい牛乳を飲む量が増えてしまっている。ただ、牛乳の味はもともとあんまり好きじゃない。大きくなるために我慢して飲んでるようなところがある。

「だいたいさー。おにぃ、昔、牛乳嫌いって言ってなかった?嫌いなら無理して飲まなくていいのに。あ~ぁ、美羽、飲みたかったのにな」
「嫌いとは言ってないさ。あんまり好きじゃない、ってだけで」
「それさ、別に『嫌い』でいいじゃん。言い直す必要ある?おにぃさ、ちょっとコンビニで牛乳買ってきてよ!」

 美羽は牛乳が好きで、もともと良く飲む。…これか?俺と美羽の成長の違いは、牛乳をイヤイヤ飲んでるやつと、好きで飲んでるやつの違いなのか?
 …と、言うか。今、美羽のやつ、俺のことパシろうとした?

「なんだよ。牛乳ぐらい、自分で買って来ればいいだろ?自分が飲みたいんだから」
「最後に飲んだの、おにぃなんでしょ?!」
「こら!あんたたち!!くだらないことで兄妹ゲンカしないの!!」

 …めっちゃ怒られた。結局、喧嘩両成敗的な処分がくだって、二人で買いに行かされることになった。しかも、コンビニじゃなくてスーパーへ。牛乳だけじゃなくて他にもいろいろと買ってくるように仰せつかった。買い物メモを眺めながら歩く。えーと、キャベツ1玉に、サラダ油、卵、緑茶…は2リットルペットボトルの6本入りを1箱?!…なんつーか重たいもの、多くね??

「おにぃ、歩きメモ眺め、危ないよ?」
「…歩きスマホみたいに言うな。てか結構重そうなもんばっかりだぞ。キャリー取りに戻るか?」
「わかった!」

 美羽が玄関にあるキャリーカートを取りに戻った。フットワークが軽くてすぐに動くのは美羽のいいところだ。

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