僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。
第5章 運命の日
「あ、違う違う。青山君じゃないよ?そもそも連絡先知らないし」
「じゃあ、同じ高校の子?」
「ん~…、いや、えーと…高校はね…違うの」
そう言ってわずかに頬を赤らめる鈴。その様子に嫌な予感しかしない。何かが音を立てて崩れるような、そんな気がした。
「…っどこで会っタノ?」
普通に聞いたつもりが、変に声が裏返ってしまった。一瞬だけ、人差し指を口の前に立てて「静かに」のポーズをした鈴姉は、次の瞬間、僕の右手首を掴み、自分の部屋に引き込んだ。こんな簡単に自分の部屋にいれるのは、俺が…ただの『弟』だから?
「お母さんとか、お兄ちゃんとかにはまだ話してないから、いつきも内緒にしててね?あのね、吹奏楽部の合同演奏会で知り合ったの」
「合同演奏会?」
コンクールの応援は何度か行ったことがあるけど、合同演奏会なんて初めて聞いた。
「うちの学校の理事長ね、桐ケ谷(きりがや)っていうの」
…なんで急に理事長の名前が?え?桐ケ谷…?
「桐ケ谷学園は、知ってるでしょ?」
知ってるも何も、今回、俺が受験した学校の名前だ。
「うちの学校も、桐ケ谷学園も理事長が同じ人なの。それでね、年に一回、合同演奏会があるの」
しかし鈴姉の学校は、全然違う学校名…清正女学院と言う名前で、桐ケ谷学園とそんな関係にあるとは全然知らなかった。
「あれ?でも鈴姉の学校って…」
「うちの学校名は『女性として、清く正しい生き方を学べ』てきな校訓が由来らしいから、人の名前とかじゃないのよ」
…って、問題はそこじゃない。桐ケ谷学園との合同演奏会で知り合った人っていったら、そこの生徒ってことだから、相手は男ってことになる。だって桐ケ谷は男子校だから。
「じゃあ、同じ高校の子?」
「ん~…、いや、えーと…高校はね…違うの」
そう言ってわずかに頬を赤らめる鈴。その様子に嫌な予感しかしない。何かが音を立てて崩れるような、そんな気がした。
「…っどこで会っタノ?」
普通に聞いたつもりが、変に声が裏返ってしまった。一瞬だけ、人差し指を口の前に立てて「静かに」のポーズをした鈴姉は、次の瞬間、僕の右手首を掴み、自分の部屋に引き込んだ。こんな簡単に自分の部屋にいれるのは、俺が…ただの『弟』だから?
「お母さんとか、お兄ちゃんとかにはまだ話してないから、いつきも内緒にしててね?あのね、吹奏楽部の合同演奏会で知り合ったの」
「合同演奏会?」
コンクールの応援は何度か行ったことがあるけど、合同演奏会なんて初めて聞いた。
「うちの学校の理事長ね、桐ケ谷(きりがや)っていうの」
…なんで急に理事長の名前が?え?桐ケ谷…?
「桐ケ谷学園は、知ってるでしょ?」
知ってるも何も、今回、俺が受験した学校の名前だ。
「うちの学校も、桐ケ谷学園も理事長が同じ人なの。それでね、年に一回、合同演奏会があるの」
しかし鈴姉の学校は、全然違う学校名…清正女学院と言う名前で、桐ケ谷学園とそんな関係にあるとは全然知らなかった。
「あれ?でも鈴姉の学校って…」
「うちの学校名は『女性として、清く正しい生き方を学べ』てきな校訓が由来らしいから、人の名前とかじゃないのよ」
…って、問題はそこじゃない。桐ケ谷学園との合同演奏会で知り合った人っていったら、そこの生徒ってことだから、相手は男ってことになる。だって桐ケ谷は男子校だから。