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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第6章 新しい世界、新しい生活。

そう言われて渡されたのは、金髪で巻き髪のウィッグ。

「むりムリmuri無理!!」

全力で拒否を試みる、が。

「ノーメイクでそのウィッグは抵抗あるかもしんないけど、今の鈴の顔、ほぼフランス人形よ?」

言われて鏡の中の自分を見る。私ではない私がそこにいて、うん、確かに被ったほうが似合う……かも?
言われるままに被ってみる。

「出来れば、カラコンも入れたかったんだけどね~。…コンタクト買う時はまず眼科に行かなきゃだからね、今日は無理だった」

サキちゃん…私、通学用のデイリーなメイクが教えてほしかったんだけど…完全に私で遊んでるよね??

「あ、そうそう。ちょっとさ、これに着替えてみて?」

サキちゃんから大きめのビニール袋を渡される。そーいえばリサイクルショップでも何か買ってたよね…

袋の端から見えたのは、淡いブルーのふわふわなレース…。…ど、ドレス?!やっぱりコスプレじゃん…。

「背中の紐は結んであげる♪」
「これ、何?」
「たぶん、演劇用の衣装じゃないかな?安かったから買ってみたの。これ見つけて今日のテーマ思いついたんだよね~」
「て、テーマって…」
「だって、楽しいじゃん?」

ニコニコ笑顔のサキちゃんに手伝われながら演劇衣装らしきふわふわのドレスを着る。

「うん、いい出来♪」

満足そうな顔のサキちゃん。やばい、完全に遊ばれてる。と、その時…

ピーン、ポーーーン。

家のインターホンが鳴った。


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