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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第7章 突如始まるコスプレ祭り

「あっ、ごめんごめん。楽し過ぎてつい…。女子ってね、3人以上集まるとけっこう騒がしいものなのよ。おしとやかな大和撫子とかハッキリ言って幻想よ~。男子の夢、壊しちゃったかな?」

絶句している樹に気付いたサキちゃんが、声をかける。

「あ、ええ…と、いや、大丈夫です。特に幻想とかは抱いてないつもりです」
「そう?なら良かった。さて、と。せっかくだしさ、このまま遊びに行かない?!」
「はぁ~~?!この格好で!!絶対頭おかしい人じゃん!!」
「あーーー。鈴は、メイクはそのままで、ウィッグと衣装は一回脱いで、持って行こうか」
「持って行く?!どこへ?!」
「せっかくだしさ、プリクラ撮ろうよ。コスプレオッケーで着替え部屋完備のとこあるから。衣装も持ち込みオッケーだよ。樹君も、メイクしてあげる」
「はぇっ?!お、俺はいいっす!!」
「けっこう綺麗な顔してるし、女装、似合うと思うんだけどな~」
「じょそぉっ?!」
「女装はイヤ?じゃ、王子様メイクにする?」
「いや、そもそもメイクがイヤです」
「まぁまぁ、普段から毎日メイクするって話じゃなくてさ、お遊びだから。ね? 鈴がさ、地元を離れて遠くの大学いっちゃうから、あっちでホームシックにかかるかもしれないし?いろいろあってしんどくなったり寂しくなったりした時に眺めて、バカ笑いして、元気出せるような写真、撮りたいの。だから、普通の写真じゃなくて、悪ふざけして変なことやったなぁ、ってそんなのがいいの。さ、女装か王子様かピエロか、選んで!」
「じゃ…じゃぁ…女装で」
「よし!決まり」

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