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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第9章 怪我の功名?

中村君、彼女…いるって聞いたのに…。一緒に並んで座っているとことか、もし知り合いに見られたらマズいんじゃないかな、そんなことを考えて、少しだけ横にズレて中村君から離れた。

のに、ズレた分だけ中村君がずいっとこっちに寄ってきた。

「あの…さ…さっきのあれ、兄貴のウソだから」

周りには聞こえないぐらいの小さな声でぼそっと耳元で話しかけられる。

「えっ?ウソ?」

聞き返そうとしたその時、

「石井さん、石井鈴さん、2番の診察室へお入りください」

呼び出しのアナウンスが流れた。

「ごめん、ちょっと行ってくるね」

中村くんに断って、席を立つ。

…ウソ、って彼女がいるって話のことかな?じゃぁ、彼女はいないってこと?でも、なんでお兄さんはそんな嘘を?
いろいろ考えながら診察室へ向かっていたら、また躓いてこけそうになった。危ない危ない。病院の待合室から診察室への移動でまた怪我が増えるとか、痛いうえにアホ過ぎるし、絶対にヤダ。

***
そして、診察。レントゲンも一応撮ってもらったけど、骨折はしてなくて、捻挫だった。動かすと悪化するので固定しますと言われ、ガッチガチにテーピングされ、3日後にまた来るようにと言われたほかは、頓服の鎮痛剤を出しておくから会計時に処方箋を受け取って、どこでもいいので薬局へ行くようにと言われた。

…骨折じゃなくて良かったぁ…。あとは、診察室入る前のさっきの話の続きを聞かなきゃ。

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